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道歌の本『童子重宝 以呂波歌教訓鑑』

道歌とは

道歌(どうか)とは、道徳や教訓を説くための短歌のことです。
最初から道歌として作られた物と、過去に作られた短歌を道歌として借用する場合があります。
室町時代から作られ始めましたが、江戸時代になると心学者によって盛んに作られ、道歌をまとめた本も多数出版されました。

書誌事項

表紙 見開き:右側は前付の裏側、左側は本文1丁目の表側

大きさ:中本(18×12.5cm)
丁数:前付1丁、本文12丁
作者:清林堂隠士
発行年は記されていませんが、江戸時代の物と思われます。

「いろは…」47文字と「京」を一文字目に当てはめた道歌が48首集められています。半丁に2首ずつの道歌と挿絵が書かれています。
題箋は表紙と比べるとやや大振りです。書名を囲む宝尽くしの模様が楽しいです。

心学の講義中か

冒頭に載せられている絵です。
心学の先生が子供達に忠孝の大切さを教えている光景でしょうか。
道歌を暗唱している場面かも知れません。
旧蔵者が捺した印(商家?)が墨で消されています。

忠孝の道歌

冒頭にはこの本のテーマである忠孝についての道歌を載せています。

【忠】主のミになりてわがみをわすれなハ よくつかふるをちうぎとハいふ
〔主のみになりて我が身を忘れなば、よく仕ふるを忠義とは云う〕

【孝】なにごともおやのこゝろにかのへさる、つとむるならバたれもかうしん、
〔何事も親の心に庚申 勤むるならば誰も庚申〕
〔何事も親の心に叶えさる 勤むるならば誰も孝心〕

跋文(奥書)と刊記

巻末に記された跋文と刊記です。
跋文にはこの本を出版した目的が書かれています。
刊記からこの本は京都の本屋から出版されたことが分かります。

此書はいろはうたを以て児童のをしへ専ら忠孝の道に先引入のもと主となるおのづから善にすゝむるじゆつなりとしかいふ
〔この書は、いろは歌を以て児童の教え専ら忠孝の道に先ず引き入れのもと主となる、自ずから善に進むる術なりとしかいふ〕

京書林
寺町通松原上ル町 天王寺屋林蔵
松原通新町西ヘ入町 みの屋平蔵

全文紹介

次ページから、この本に収録されている48首の道歌を全て紹介します。
一緒に画像も載せましたので、仮名のくずし字に親しんでみてください。
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