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暑中見舞状(明治時代の教科書『書牘』を読む)

教材(PDFファイル)

読み方(往信)

暑中見舞状(しょちゅうみまいじょう)
(1)前文(起筆)以書状(しょじょうをもって)致啓上候(けいじょういたしそうろう)
(2)本文(先方の安否)甚暑之節ニ(じんしょのせつに)候へとも(そうらえども)御全家無御障(ごぜんかおさわりなく)被為入(いらせられ)恐悦奉存候(きょうえつにぞんじたてまつりそうろう)
(3)本文(暑中見舞いに橙汁を贈る)依之(これにより)御様体相伺ひ度(ごようたいあいうかがいたく)手製之橙汁壱瓶(てせいのとうじるひとびん)差進候(さしすすましそうろう)
(4)末文(本文の要旨)尚(なお)折角(せっかく)消暑之御手当専一ト(しょうしょのおてあてせんいつと)存候(ぞんじそうろう)
(5)末文(書留)早々不具(そうそうふぐ)

読み方(返信)

(1)前文(起筆)御状致披見候(ごじょうはいけんいたしそうろう)
(2)本文(先方の安否)如仰(おおせのごとく)甚暑之節ニ(じんしょのせつに)候へとも(そうらえども)弥(いよいよ)御勇健(ごゆうけん)珍重ニ存候(ちんちょうにぞんじそうろう)
(3)本文(暑中見舞いの橙汁の御礼)時節御見舞として(じせつのおみまいとして)御手製之(おてせいの)橙汁壱瓶(とうじるひとびん)御贈り被下(おおくりくだされ)忝候(かたじけなくそうろう)
暑気ヲ凌き候(しょきをしのぎそうろう)第一之品ニ付(だいいちのしなにつき)たくはへ置(たくわえおき)日々拝味(ひびはいみ)可致ト存候(いたすべきとぞんじそうろう)
(4)末文(書留)右御礼のミ(みぎおれいのみ)草々不具(そうそうふぐ)

言葉の意味

・甚暑(じんしょ)はなはだしい暑さ。酷暑。
・全家(ぜんか)家族全員のこと。
・橙汁(とうじゅう)橙(だいだい)の果汁。
・差進し(さしすすまし)物を贈ること。
・消暑(しょうしょ)暑気を取り除くこと。暑さしのぎ。
・手当(てあて)てだて。方法。手段。
・珍重(ちんちょう)自分を大切にすること。自重すること。
・勇健(ゆうけん)健康であること。達者であること。
・拝味(はいみ)いただき、味わうこと。