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年賀状(2)(明治時代の教科書『書牘』を読む)

教材(PDFファイル)

読み方(往信)

年賀帖(ねんがじょう)
(1)前文(年賀を祝す)改年之御吉慶(かいねんのごきっけい)不可有尽期候(じんごあるべからずそうろう)
(2)本文(先方の安否)御全家(ごぜんか)益(ますます)御機嫌能(ごきげんよく)御超歳(ごちょうさい)目出度御儀ニ(めでたきおんぎに)奉存候(ぞんじたてまつりそうろう)
(3)本文(当方の安否)拙家一同(せっけいちどう)無事加年候条(ぶじにかねんそうろうじょう)乍慮外(りょがいながら)御休意可被下候(ごきゅういくださるべくそうろう)
(4)末文(本文の要旨)右年始御祝詞(みぎねんしのごしゅうし)如此御座候(かくのごとくにござそうろう)
(5)末文(後日会うことを誓う)書余(しょよ)期永日之時候(えいじつのときをごしそうろう)
(6)末文(書留)恐惶謹言(きょうこうきんげん)

読み方(返信)

(1)前文(年賀を祝す)新暦之御慶(しんれきのぎょけい)不可有際限候(さいげんあるべからずそうろう)
(2)本文(先方の安否)皆々様被為揃(みなみなさまそろわせられ)弥(いよいよ)御勇健御越年(ごゆうけんにごえつねん)珍重之至ニ(ちんちょうのいたりに)奉存候(ぞんじたてまつりそうろう)
(3)本文(当方の安否)将(はた)当方にても(とうほうにても)一同無異(いちどうぶいに)加年之条(かねんのじょう)乍憚(はばかりながら)御安慮可被下候(ごあんりょくださるべくそうろう)
(4)末文(本文の要旨)右早速(みぎさっそく)預御来札候(ごらいさつにあずかりそうろう)御報旁(ごほうかたがた)年頭御祝儀(ねんとうのごしゅうぎ)申述候(もうしのべそうろう)
(5)末文(書留)恐惶謹言(きょうこうきんげん)

言葉の意味

・吉慶(きっけい)めでたいこと。祝うべきこと。
・不可有尽期(じんごあるべからず)尽期(じんご)は物事が尽きる時期のこと。不可有尽期は「終わることがありません」という意味。
・全家(ぜんか)家族全部。家内中。御全家は相手の家族を指す。
・超歳(ちょうさい)新年を迎える こと。
・拙家(せっけ)自分の家をへりくだっていう言葉。
・加年(かねん)新年を迎えて年を加えること。
・乍慮外(りょがいながら)失礼ですが。恐れ入りますが。
・休意(きゅうい)安心すること。
・祝詞(しゅうし)祝いの言葉。
・書余(しょよ)ここに書いてあることの他は、という意味。
・期永日之時(えいじつのときをごし)後日、日ながの折にゆっくり会おう。また、詳しく話そうの意。
・恐惶謹言(きょうこうきんげん)
・新暦(しんれき)新年のこと。
・御慶(ぎょけい)めでたいこと。祝うべきこと。
・不可有際限(さいげんあるべからず)終わりがないこと。
・勇健(ゆうけん)健康であること。達者であること。
・珍重(ちんちょう)自分を大切にすること。自重すること。
・将(はた)それはそれとして。こちらはこちらで。
・無異(ぶい)無事であること。
・安慮(あんりょ)安心すること。
・来札(さいさつ)こちらへ届いた書状。
・御報(ごほう)お知らせ。