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売米預り証文(明治時代の教科書『書牘』を読む)

売った米を一時的に預かる時の証文の例文です。配達に支障が出来たので一時的に預かっていることなどが記されています。

教材(PDFファイル)

読み方

売米預り証文(ばいまいあずかりしょうもん)
覚(おぼえ)
一(ひとつ)米何石(こめなんこく)但何米(ただしなにまい)
右之米(みぎのこめ)貴殿ニ売渡(きでんにうりわたし)代金受取候処(だいきんうけとりそうろうところ)実正也(じっしょうなり)即刻御引取(そっこくおひきとり)成さるへき処(なさるべきところ)馬(うま)舟(ふね)差支ニ付(さしつかえにつき)当分拙者方に(とうぶんせっしゃがたに)預り置申候(あずかりおきもうしそうろう)
何時にても(なんどきにても)御都合次第(ごつごうしだい)此証書ト引換(このしょうしょとひきかえ)相渡申へく候(あいわたしもうすべくそうろう)後日の為(ごじつのため)証書さし入候也(しょうしょさしいれそうろうなり)
売主(うりぬし)何某(なにがし)
証人(しょうにん)何某(なにがし)
何某殿(なにがしどの)

言葉の意味

何米(なにまい)玄米か白米。
実正(じっしょう)確かなこと。間違いないこと。
差支(さしつかえ)支障や障害が起きること。この場合は事故で運べなくなること。

読み下し

右の米、貴殿に売り渡し、代金受け取り候ところ実正なり。即刻御引き取りなさるべきところ[馬・舟]差し支えに付き、当分拙者方に預り置き申し候。何時にても、御都合次第、この証書と引き換えあい渡し申すべく候、後日のため、証書差し入れ候なり。

【参考】類語と註解

※読解の参考にするため『書牘』の注釈書(参考書)『書牘 : 類語註解 日用文』から該当部分を抜き出しました。

・代金【類語】価額ノ金員(かがくのきんいん)

・即刻御引取(そっこくおひきとり)【類語】即時御携退(そくじごけいたい)

・[馬・舟]差支(さしつかえ)【類語】馬(舟・車)の事故ありて運輸(もちはこび)いたし難きに付き

・預置(あずかりおき)【類語】領置(りょうち)

・御都合次第(ごつごうしだい)【類語】御便宜(ごべんぎ)に任(まか)せ※読みは原文通り。

・引換(ひきかえ)【類語】交換(こうかん)

・米何石(こめなんごく)【註解】玄米・白米と書き分けるをよしとす。