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売渡証文(明治時代の教科書『書牘』を読む)

品物を売った時に買主へ提出する売渡証文の例文です。代金と引き換えに売ったこと、品物に問題があった場合はきちんと対応することなどが記されています。

教材(PDFファイル)

読み方

売渡証文(うりわたししょうもん)
覚(おぼえ)
一(ひとつ)何品(なにしな)何箇(なんこ)
此代金(このだいきん)何円也(なんえんなり)
右之品(みぎのしな)此度(このたび)貴殿へ売渡(きでんへうりわたし)前書之代金(ぜんしょのだいきん)受取申処(うけとりもうすところ)実正也(じっしょうなり)
若シ(もし)此品ニ付(このしなにつき)何様之儀(なにようのぎ)出来候とも(できそうろうとも)拙者罷出(せっしゃまかりいで)急度申披(きっともうしひらき)聊(いささかも)御煩労相懸(ごはんろうあいかけ)申間敷候(もうすまじくそうろう)後日のため(ごじつのため)証書差入候也(しょうしょさしいれそうろうなり)
何某(なにがし)
何某殿(なにがしどの)

言葉の意味

何品(なにしな)品物の名称を指す。
実正(じっしょう)確かなこと。間違いないこと。
申披く(もうしひらく)弁解すること。
煩労(はんろう)迷惑をかけること。
差入(さしいれ)提出すること。

読み下し

右の品、この度(たび)貴殿へ売り渡し、前書の代金受け取り申ところ実正なり、もしこの品に付き、何様の儀出来候とも、拙者罷り出で、急度申し披(ひら)き、聊(いささか)も御煩労あい懸け申す間敷(まじく)候。後日のため証書差し入れ候なり。

【参考】類語と註解

※読解の参考にするため『書牘』の注釈書(参考書)『書牘 : 類語註解 日用文』から該当部分を抜き出しました。

・売渡(うりわたし)【類語】売付(ばいふ)、売却(ばいきゃく)

・前書(ぜんしょ)【類語】券面(けんめん)

・代金(だいきん)【類語】価額(かがく)

・何様之儀(なにようのぎ)【類語】万一事故(まんいちじこ)

・罷出(まかりいで)【類語】出頭(しゅっとう)

・急度(きっと)【類語】速(すみやか)に

・申披(もうしひらき)【類語】弁解(べんかい)

・煩労(はんろう)【類語】迷惑(めいわく)