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土蔵借用証文(明治時代の教科書『書牘』を読む)

土蔵の借用証文の例文です。借りる理由と、鍵を借りたことと、使用料などが記されています。

教材(PDFファイル)

読み方

土蔵借用証文(どぞうしゃくようしょうもん)
覚(おぼえ)
第何大区(だいなにだいく)何小区(なにしょうく)何町(なにちょう)何番地内(なにばんちない)
一(ひとつ)土蔵(どぞう)本戸前付(ほんとまえつき)壱棟(いっとう)
右は(みぎは)此度(このたび)拙者所持之米(せっしゃしょじのこめ)積入之ため(つみいれのため)借用いたし(しゃくよういたし)錠鍵共受取(じょうかぎともうけとり)申候所(もうしそうろうところ)実正也(じっしょうなり)
借用中(しゃくようちゅう)壱ケ月謝金何円の(いっかげつしゃきんなんえんの)約定にて(やくじょうにて)毎月(まいつき)廿八日限(にじゅうはちにちかぎり)必(かならず)相納むへく候(あいおさむべくそうろう)
後日のため(ごじつのため)証書差入(しょうしょさしいれそうろうなり)候也(そうろうなり)
借受人(かりうけにん)何某(なにがし)
証人(しょうにん)何某(なにがし)
何某殿(なにがしどの)

言葉の意味

大区・小区(だいく・しょうく)明治初期の地方行政区画。いくつかの小区をまとめて大区とした。
本戸前(ほんとまえ)土蔵の扉を戸前と呼ぶ。本戸前は扉の種類。
実正(じっしょう)確かなこと。間違いないこと。
差入(さしいれ)提出すること。

読み下し

右はこの度拙者所持の米積み入れのため、借用いたし錠鍵共受け取り申し候ところ実正なり。借用中一ヶ月謝金何円の約定にて、毎月二十八日限り、必ずあい納むべく候。後日のため証書差し入れ候なり、

【参考】類語と註解

※読解の参考にするため『書牘』の注釈書(参考書)『書牘 : 類語註解 日用文』から該当部分を抜き出しました。

・覚(おぼえ)【類語】左券(さけん)

・土蔵(どぞう)【類語】土庫(どこ)

・此度(このたび)【類語】今回(こんかい)

・所持(しょじ)【類語】所有(しょゆう)

・積入(つみいれ)【類語】蓄蔵(ちくぞう)

・錠鍵(じょうかぎ)【類語】管鑰(かんやく)

・受取(うけとり)【類語】落手(らくしゅ)

・実正(じっしょう)【類語】確実(かくじつ)

・借用中(しゃくようちゅう)【類語】期限中(きげんちゅう)

・約定(やくじょう)【類語】契約(けいやく)

・相納(あいおさめ)【類語】差入(さしいれ)、納金(のうきん)

・為後日(ごにちのため)【類語】為後日異議無之(ごにちいぎこれなきため)

・証書(しょうしょ)【類語】券書(けんしょ)、借用書(しゃくようしょ)