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為替証文(明治時代の教科書『書牘』を読む)

為替証文(かわせしょうもん)は為替手形とも呼ばれ、送金手段の一つです。商業が発達した江戸時代、現金を送るのは危険なので、証文のやり取りで送金できる方法が発達しました。
この場合はA地点とB地点に同じ会社の店舗があり、A地点の店舗に現金を預けて証文を書いてもらい、B地点の店舗で証文と引き換えに現金を受け取る仕組みになっています。

教材(PDFファイル)

読み方

替ハせ証文(かわせしょうもん)
覚(おぼえ)
一(ひとつ)金何円也(きんなんえんなり)但(ただし)正金金札也(しょうきんきんさつなり)
右金(みぎきん)請取(うけとり)申候所(もうしそうろうところ)実正也(じっしょうなり)
何地何町何丁目(なにちなにまちなんちょうめ)同社に於て(どうしゃにおいて)此証書ト引替(このしょうしょとひきかえ)前書の金(ぜんしょのきん)御請取(おうけとり)成さるへく候(なさるべくそうろう)
後日のため(ごじつのため)証書差入候也(しょうしょさしいれそうろうなり)
東京(とうきょう)幾大区(いくだいく)幾小区(いくしょうく)
何町(なにまち)何社中(なにしゃちゅう)
何某(なにがし)
何某殿(なにがしどの)

言葉の意味

正金(しょうきん)金貨や銀貨のこと。
金札(きんさつ)紙幣のこと。
実正(じっしょう)確かなこと。
差入(さしいれ)提出すること。
大区・小区(だいく・しょうく)明治初期の地方行政区画。いくつかの小区をまとめて大区とした。

読み下し

右金請け取り申し候ところ実正なり。何地何町何丁目同社において、この証書と引き替え、前書の金御請け取りなさるべく候。後日のため、証書差し入れ候なり。

【参考】類語と註解

※読解の参考にするため『書牘』の注釈書(参考書)『書牘 : 類語註解 日用文』から該当部分を抜き出しました。

・為替(かわせ)証文【類語】兌換証券(だかんしょうけん)

・覚(おぼえ)【類語】記(き)、証(しょう)、左券(さけん)

・正金(しょうきん)【類語】金貨(きんか)、銀貨(ぎんか)

・金札(きんさつ)【類語】紙幣(しへい)

・請取(うけとり)【類語】領受(りょうじゅ)、落手(らくしゅ)

・同社(どうしゃ)【註解】同社の字、なるべく重複を厭わず、何某社と書すべし

・引替(ひきかえ)【類語】交換(こうかん)、兌換(だかん)

・前書之金(ぜんしょのきん)【類語】券面之金額(けんめんのきんがく)、券額之金円(けんがくのきんえん)