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寒中見舞状(明治時代の教科書『書牘』を読む)

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読み方

【往信】一筆(いっぴつ)啓上いたし候(けいじょういたしそうろう)厳寒之(げんかんの)砌に(みぎりに)候所(そうろうところ)益(ますます)御機嫌能(ごきげんよく)目出度(めでたく)存候(ぞんじそうろう)麁末なから(そまつながら)塩鱈五尾(しおだらごび)御勝手迄(ごかってまで)相廻し(あいまわし)申候(もうしそうろう)御咲留(ごしょうりゅう)下され(くだされ)候へは(そうらえば)本望之(ほんもうの)至に候(いたりにそうろう)右(みぎ)時節(じせつ)御様体(ごようたい)相(あい)伺度(うかがいたく)斯の(かくの)如くに(ごとくに)御座候(ござそうろう)以上(いじょう)

【返信】御状(おじょう)披見いたし候(ひけんいたしそうろう)寒さ(さむさ)厳しく(きびしく)候へとも(そうらえども)弥(いよいよ)御健全に(ごけんぜんに)渉らせられ(わたらせられ)珍重に(ちんちょうに)存し候(ぞんじそうろう)偖は(さては)時節(じせつ)御尋として(おたずねとして)塩鱈五尾(しおだらごび)御心にかけられ(おこころにかけられ)浅からす(あさからず)忝(かたじけなく)存候(ぞんじそうろう)取敢へす(とりあえず)御礼まて(おれいまで)草々(そうろう)以上(いじょう)

言葉の意味

【往信】
砌(みぎり)時期。
勝手(おかって)台所。
相廻し(あいまわし)差し上げること。
御笑留(ごしょうりゅう)「つまらない物ですが、笑ってお納めください」という意味で用いる言葉。
御様体(ごようたい)ご容態。ご様子。
相伺度(あいうかがいたく)知りたく。

【返信】
渉らせられ(わたらせられ)「〜している」に敬意をこめた表現。
時節御尋(じせつのおたずね)季節の挨拶として。
浅からす(あさからず)深くありがたく思う。
忝存候(かたじけなくぞんじそうろう)うれしく思います。