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文房四宝
文房四宝(ぶんぼうしほう)とは書道において用いられる四種の文房具のことで、硯・墨・筆・紙を指します。
文人たちの文房趣味の中で珍重されてきたもので、特に使っても減ることのない硯は骨董的価値も高く、特に愛玩されてきたようです。
以下の画像は『大全童子往来』という手習いの例文集の冒頭に掲載された挿絵です。
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硯の由来
【詞書】
事物紀源に曰、墨も又硯も文字と同く黄帝の代より興るとなり、然りといへども古へ硯の字見えず、唐土ハ多く瓦をもつて硯とせしとなん、
○硯の神を〓妃(淬妃)といふ、
○墨の神神を回氏といふ、
○筆の神神を佩阿といふ、
○紙の神神を尚卿といふ、
また、相伝ていふ、硯の面に物を書ことなかれと、菅家の御歌に、見る石の硯にものハかゝざりき、ふしのやうじハつかハざりけり、
墨の由来
【詞書】
墨ハいにしへ黒き土をもつて作りし故、文字黒き土とかけりとなん、唐の代にいたつて始めて松煙の製あり、唐の李廷珪はじめて真珠を加ふ故に、かたきこと金石の如し、龍脳・麝香・金箔を用ゆることハ、宋の張遇より始る、およそ墨を試るハ、黒漆の器に点じて、これをミれバ、則ち善悪おのづから見ハる、心得置べし、古今南都より造り出すものを良とす、
筆の由来
【詞書】
筆ハ始めて作りいだすもの、彼此と一決せず、尤も古への筆ハ、今製する所とハ異にして、今の筆ハ秦の蒙帖といへる人、毛穎に事を習らひて造り出せしとぞ、筆なき前ハ木をもつて字をきざみ、刀をもつて書しとなん、頭をつゝむ管を帽といひ、本を管といふ、また筆の製作さま〓〓ありて、蒙帖はじめて作りしハ、枯木をもつて管とし、鹿の毛を柱とし、羊のながき毛を上にかづけしとなり、その余鼠鬚・狸毛・兎毛・〓毛・狐毛等好に応ず、
紙の由来
【詞書】
往古ハ紙なく、竹を編て青ミを炙り字をかく、是を汗青といふ、故に今も書簡・書策などの文字竹に従ふといふ、秦漢の間に至つてハ、鋤をもつて字をかく、是を幡紙といふ、故にかミの字紙・帋、是等糸に従ひ、巾に従ふといへり、東漢和帝のときに、桂陽の蔡倫始て樹皮・故帛・魚網・麻を采て煮爛し紙を造、今ハ多く楮の木の皮を用ゆ、日本にてハ推古天皇の御宇、高麗より曇徴といへる僧渡り紙を製することを伝ふ、尚聖徳太子、此僧と共に工夫し玉ひ、種々の紙を製し初め玉ふとなり、