古文書の入門書などで身近なくずし字の代表として取り上げられる機会が多いのが、割り箸の袋に書かれている「おてもと」のくずし字です。
ここでは、昭和30年代の箸袋が貼られたスクラップブックから、何点か取り上げてみようと思います。
箸袋「おてもと」のくずし字
「おてもと」とは
おてもとは漢字で「御手元」「御手許」と書きます。料理を取り分ける箸を「取り箸」と呼ぶことから、各自で使う箸を「御手元箸」と呼ぶようになり、御手元箸を略して「おてもと」という言葉が出来たそうです。
「おてもと」のくずし方色々
●その1「御手もと」と読む5例
1文字目は「御」2文字目は「手」です。CやDの「御」はずいぶん崩れていますが、古文書ではよく見かける書体です。3文字目と4文字目は平仮名です。3文字目はいずれも「毛」のくずし字になっていますが、CやDは現行の平仮名「も」に近い書体で書かれています。また、4文字目はいずれも「登」のくずし字になっています。
●その2「御手もと」と読む4例
上記その1との違いは、3文字目の平仮名が「茂」のくずし字になっていることです。
●その3「御手もと」と読む3例
この3例は、3文字目と4文字目の平仮名が現行の書体とほぼ同じです。ちなみに4文字目は「止」のくずし字です。
●その4「御てもと」と読む2例
一文字目の「御」のみ漢字で、残り3文字が平仮名で書かれた例です。2文字目は現行の平仮名とほぼ同じ書体で「天」のくずし字です。@の3文字目は「茂」のくずし字で、Aの3文字目は「毛」のくずし字です。4文字目は両方共「登」のくずし字です。
●その5「おてもと」と読む4例
4例ともに現行の平仮名で書かれています。
●その6「御はし」と読む1例
2文字目と3文字目が平仮名で書かれています。3文字目は「志」のくずし字です。