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十一月の手紙 解読例と解説(手習いのお手本を読む)

季節とは直接関係ありませんが、無事に出産したことを祝う手紙です。

文意と返り点(解読のヒント)

十一月の手紙

@手紙の書き出しに使う定型文。
A寒くなっても無事であることを祝う。
B男の子が産まれたことと、母子ともに無事であることを祝う。


十一月の手紙

C祝いの品を贈る。
D産後の養生を気遣う。
E日付

解読例と解説

十一月の手紙

【よみ】
一筆致啓上候:いっぴつけいじょういたしそうろう
迎寒之砌:げいかんのみぎり
益御安康奉珍賀候:ますますごあんこうちんがたてまつりそうろう
今朝者御令室様御安産:けさはごれいしつさまごあんざん
御男子様御出生:ごだんしさまごしゅっせい
【意味】
令室:他人の妻を敬っていう言葉。

十一月の手紙

【よみ】
御両人様共御壮健之由:ごりょうにんさまともごそうけんのよし
目出度奉存候:めでたくぞんじたてまつりそうろう
依之御肴一篭・しらが入貴覧候:これによりおさかなひとかごしらがきらんにいれそうろう
御産後御加養専要奉存候:ごさんごごかようせんようにぞんじたてまつりそうろう
已上:いじょう
霜月:しもつき
【意味】
肴:酒を飲む時に添えて食べるもの。
しらが(白髪):白髪が生えるまで長生きできるように送る品物のこと。
霜月:十一月の異名。