今回取り上げる教材は「善悪種蒔金生木(ぜんあくたねまきかねのなるき)」という江戸時代の教訓書の冒頭に載せられているものです。
小判や銭が鈴なりになっている木に商売繁盛の教訓を書いた縁起物で、同様なものが一枚刷りでも多数発行されました。
教材の画像
以下の画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。画面上でご覧になるもよし、印刷してもよし。ご自由に活用して下さい。
解読例 幹の部分(上から)
よろず程の良き
「よろづ程のよ木」と書いてあります。
仮名「づ」は「川」の草書体に濁点を打っています。
慈悲深き
「じひふか木」と書いてあります。
仮名「じ」は「志」の草書体に濁点を打っています。
正直
「しやうぢ木」と書いてあります。
仮名「し」は「志」の草書体です。
根元に書かれているということは、商売繁盛の根本という意味合いでしょうか。
解読例 右へ伸びる枝葉(上から)
朝起き
「あさお木」と書いてあります。
潔き
「いさぎよ木」と書いてあります。
辛抱強き
「しんぼうづよ木」と書いてあります。
仮名「し」は「志」の草書体です。
仮名「ぼ」は「本」の草書体に濁点を打っています。
油断の無き
「ゆだんのな木」と書いてあります。
仮名「だ」は「多」の草書体に濁点を打っています。
仮名「な」は「奈」の草書体です。
解読例 左へ伸びる枝葉(上から)
稼ぎ
「かせ木」と書いてあります。
仮名「か」は「可」の草書体です。
仮名「せ」は「勢」の草書体です。
費えの無き
「ついへのな木」と書いてあります。
仮名「な」は「奈」の草書体です。
養生良き
「ようぜうよ木」と書いてあります。
家内睦まじき
「かないむつまじ木」と書いてあります。
仮名「か」は「可」の草書体です。
仮名「な」は「奈」の草書体です。
解読例 詞書
金のなる木の周辺に記されている詞書(ことばがき)の解読例です。
此書(このしよ)ハ何人(なにひと)の作(さく)なるをしらすといへども、古(ふる)くよりつたへて、言々(げんげん)句々(くく)皆金玉(みなきんぎよく)の教戒(きやうかい)なれば、初学(しよがく)の人の為(ため)に、これを世(よ)に普(あまね)くせんとて、直(ただち)に梓(あずさ)に上(のぼ)せて、もつて一小冊(いつせうさつ)となす事(こと)しかり、