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月の異名

12月を「極月」と表記するなど、月の異名は古文書上で時々見かけることができますが、いざ調べてみると数多くの異名があることが分かります。例えば「日本史辞典」(高柳光寿・竹内理三編、角川書店)の「月異名表」には正月だけで46種類も挙げられています。しかも、私見ではそれ以上の異名が確認できたので「何でこんなにあるんだ」ということも含め追々まとめたいと思っています。
ここでは暫定版として私蔵の「千里用文章」(嘉永2年)という往来物に掲載されている異名を取り上げます。
また、ここにあげる月の異名はあくまでも太陰暦(旧暦)上で利用されたものです。特に四季に係わる異名は明治改暦以降変更されています。ご注意下さい。

月の異名の一覧

異名
正月王春(おうしゅん)・端月(たんげつ)・大族(たいぞく)・発春(はっしゅん)・初春(しょしゅん)・芳春(ほうしゅん)條風(じょうふう)・祝月(いわいづき)・太郎月(たろうづき)・霞初月(かすみそめつき)・睦月(むつき)
二月仲春(ちゅうしゅん)・中和(ちゅうか)・夾鐘(きょうしょう)・如月(きさらぎ・じょげつ)・半春(はんしゅん)・殷春(いんしゅん)・四陽(しよう)・花景(かけい)・梅見月(うめみづき)
三月季春(きしゅん)・晩春(ばんしゅん)・竹秋(ちくしゅう)・姑洗(こせん)・莫春(ばくしゅん)・桜月(さくらづき)・弥生(やよい)・花見月(はなみづき)・春末(しゅんまつ)・鴬時(おうじ)・春晩(しゅんばん)
四月卯月(うづき)・中呂(ちゅうりよ)・首夏(しゅか)・孟夏(もうか)・正陽(せいよう)・花残り月(はなのこりつき)・余月(よげつ)・乏月(ぼくげつ)・更衣月(ころもがえづき)
五月仲夏(ちゅうか)・夏五(かご)・梅天(ばいてん)・早苗月(さなえづき)・午夏(ごか)・鶉月(じゅんげつ)・皐月(さつき)・南訛(なんか)・皐月(こうげつ)・盛夏(せいか)・橘月(きつげつ)・月不見月(つきみぬつき)
六月晩夏(ばんか)・季夏(きか)・水無月(みなづき)・風待月(かざまちづき)・林鐘(りんしょう)・徂暑(そしよ)・庚伏(こうふく)・鶉火(じゆんか)・陽氷(ようひょう)・熱月(ねつげつ)・溽暑(じょくしよ)
七月蘭月(らんげつ)・夷則(いそく)・初秋(しょしゅう)・孟秋(もうしゅう)・新秋(しんしゅう)・文月(ふみづき)・首秋(しゅしゅう)・商節(しょうせつ)・餞暑(せんしょ)・葉落(ようらく)・七夕月(たなばたづき)
八月仲秋(ちゅうしゅう)・清秋(せいしゅう)・南呂(なんりよ)・雁来(がんらい)・葉月(はづき)・桂月(けいげつ)・月見月(つきみづき)・秋月(しゅうげつ)・秋風月(しゅうふうづき)・西影(せいえい)・商音(しょういん)
九月季秋(きしゅう)・玄月(げんげつ)・涼秋(りょうしゅう)・菊月(きくげつ)・長月(ながづき)・授衣(じゅい)・晩秋(ばんしゅう)・霜秋(そうしゅう)・暮秋(ぼしゅう)・築場(ちくじょう)・無射(ぶえき)・紅葉月(もみぢつき)
十月良月(りょうげつ)・孟冬(もうとう)・初冬(しょとう)・陽月(ようげつ)・神無月(かみなづき・かんなづき)・応鐘(おうしょう)・吉月(きつげつ)・始氷(しひょう)・新冬(しんとう)・小春(こはる)・時雨月(しぐれづき)
十一月仲冬(ちゅうとう)・霜月(しもつき)・黄鐘(おうしょう)・星記(せいき)・新陽(しんよう)・雪見月(ゆきみづき)・神楽月(かぐらづき)・冬半(とうはん)・復月(ふくげつ)・暢月(ちょうげつ)
十二月極月(ごくげつ)・師走(しわす)・季冬(きとう)・大呂(たいりょ)・余月(よげつ)・臘月(ろうげつ)・晩冬(ばんとう)・春待月(はるまちづき)・歳晩(さいばん)・残冬(ざんとう)・歳蘭(さいらん)・三冬月(みふゆづき)